
Japow(ジャパウ)とは?
文:Kazu·
Japow は Japan と powder を合わせた言葉。日本の、軽くて深いパウダースノーのことです。
海外のスキーヤーやスノーボーダーが、憧れを込めてこう呼びます。
Kazu です。九州・福岡県の出身で、パウダースノーの面白さに気づいたのは90年代の終わりです。今は東京で働きながら、年に30日ほどこの雪を追いかけています。休みは限られているので、いつも考えているのは「今日、どこがアタリか」。このサイトは、その答えを毎朝出すために作りました。
福岡県生まれのスキーヤーが、パウダーに出会うまで
パウダースノーというものを初めて知ったのは、90年代の半ば、ニセコ・ひらふです。茨城の大洗港から、船で北海道へ渡りました。3月中旬で、スキーもまだそんなにうまくなかったけれど、モーグルコースに入ってジャンプしたり、コースの外に出てパウダーを滑ったり。まだおおらかな空気があった時代です。
90年代の終わりは、フリースキーが流行り始めていて、モーグルがとにかくかっこよかった時代です。サロモンの「1080」は「コブでも新雪でも、どこでも滑れる」が売りで、当時としては幅も広めでした。この板で、パウダースノーを楽しむというスタイルがあることを、初めて知りました。
はまったのは2000年代の初め。東北の八幡平に上質なパウダーがあると聞いて、初めてのボーナスで買った中古のレガシィ(当時20万円ほど)を、10時間以上走らせて通いました。そのスキー場はもうありませんが、雪の質を意識するようになったのは、このころからです。
10年前、この言葉を日本語で紹介した
2016年3月、私は「YouはJapow!を知っているか?」という記事を書きました。ニセコには2010年代の前半から海外のスキーヤーが目立ち始めていて、このころには日本人よりオーストラリア人のほうが多いと感じるほど。Instagram には #Japow の投稿があふれていたのに、日本人の多くはまだこの言葉を知らなかったころです。
それから10年。海外からのスキーヤーはニセコから白馬、そして日本中のスキー場に広がり、ニセコのリフト券は2倍になりました(この10年の答え合わせは、note に書きました)。
初めてニセコに行ってからずいぶん経ち、今は毎年欠かさず通っています。温暖化の影響はあっても、変わらないのはあの雪と、あの斜面たち。アンヌプリの大斜面だけではありません。ひらふのスーパーコースとその脇の大広間を、ナイターで滑れるのも最高です。
なぜ日本の雪は特別なのか
冬になると、日本の西に高気圧、東に低気圧が並ぶ「西高東低」、いわゆる「冬型」の気圧配置になり、シベリアから冷たく乾いた北西の風が吹きます。日本海には暖流(対馬海流)が流れていて、冬でも海は比較的あたたかい。風はその上を渡るあいだにたっぷり水蒸気を含み、日本の山にぶつかって雪を降らせます。海沿いでは水分を含んだ重めの雪でも、内陸に入るほど、雪は軽く乾いていきます。たとえばニセコアンヌプリは海に近いほうですが、ニセコ連峰のいちばん東の端にあるので、ほどよいパウダースノーになります。しかも寒波のたびに何日も降り続けます。青森の酸ケ湯では積雪566cmの記録もあります(2013年2月26日、気象庁アメダス)。
大雪の日によく聞く「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」は、朝鮮半島の付け根の山々で二手に分かれた寒気が、日本海の上でふたたびぶつかってできる雪雲の帯です。この帯がかかった所には、短い時間にどっと雪が降ります。
いちばん降るのは12月中旬から2月、場所は日本海側の山です。北海道・東北・新潟・長野の今の雪は、エリアごとのページで見られます。
エリアごとの雪の違い
同じ冬型でも、どこに行くかで雪は変わります。
数字で見る Japow
このサイトでは、24時間の降雪量でパウダーを3つに分けています。
| 段階 | 24時間の降雪 | どんな日か |
|---|---|---|
| プチPOW | 5cm 〜 | 朝イチなら当たり |
| JAPOW | 15cm 〜 | 日本のパウダーらしい一日 |
| ドPOW | 50cm 〜 | シーズンに数えるほどの大当たり |
「ドパウ」は、日本のスキーヤーやスノーボーダーが、とにかくめちゃくちゃ降った日に使う言葉です。一般にはあまり知られていないスラングですが、聞けばなんとなく伝わるはず。このサイトでは、24時間で50cmを超えた日をドPOW と呼んでいます。その日は、このサイトのロゴも「ドPOW NOW!」に変わります。
2025-26シーズン、全国のどこかがドPOW になったのは13日(気象庁の観測)。しかも全部が11月から1月で、2月以降は0日でした。私が1年でいちばん胸が高鳴るのはシーズン最初の雪ですが、数字で見ても、いちばん深い一晩はシーズンの前半に来ていました。
2025-26シーズン、1日の降雪が多かった日(気象庁アメダス)
| 日付 | 観測点 | 1日の降雪 | 近くのスキー場 |
|---|---|---|---|
| 11月18日 | 酸ケ湯(青森) | 76cm | 八甲田 |
| 12月31日 | 肘折(山形) | 70cm | 月山 |
※ 2025-26シーズンに、全国の気象庁アメダスのどこかで1日の降雪量(日合計)が50cm以上になった日の数。表は同じシーズンの1日の降雪量(日合計)の多い順。
私の好きな Japow
バックカントリーにも行きますが、限られた1日でできるだけたくさん滑りたいので、好きなのはリフトやロープウェイから行きやすい斜面です。

- ニセコアンヌプリ 藤原の沢〜東尾根:山頂から広がる大斜面。これだけ長い距離の上質なパウダーを、比較的安全に、一日に何本も滑れる場所は、少なくとも日本にはほかにないと思います。滑り終わっても、ゲレンデでナイターまで滑れる。人生が狂いました。
- テイネの沢:「1番沢」「2番沢」「3番沢」と番号で呼ばれる沢が並ぶ場所。テイネハイランドのゲレンデトップのゲートから、サイドカントリーとして入れます。1972年の札幌オリンピックで男子大回転のコースだった跡もあります。この長さでこの急斜面は、日本のスキー場にはめったにありません。北向きで、しかも北海道。雪質は言うことなしです。地元のスキーヤーには、さらにその先があるらしい。
- 八甲田:ロープウェイで標高を稼げるので、森の奥まで入らなくても、1時間ほどのハイクで山頂付近に立てます。コースも複数あり、有名なのは箒場岱と銅像コース。ただし滑り終えたあと、ロープウェイ乗り場へは車でないと戻れません。厳冬期はもちろん、春スキーも楽しい場所です。
- かぐら 中尾根の南斜面:かぐらのバックカントリーの良さは、ゲレンデから入りやすく、戻りやすいこと。1時間ほどのハイクで、中尾根、その南斜面・北斜面、反射板と、いくつものルートを選べます。いちばん好きなのは中尾根の南斜面。すぐゲレンデに戻れるので、朝イチにゲレンデで数本滑ってからBCへ(2時間弱)。そのあとはもう一度登ってもいいし、ゲレンデで遊んでもいい。標高が高いので春も良く、私の滑り納めはだいたいGWの翌週です。
- 八方尾根の沢:ゲレンデトップまでリフトで上がり、尾根を1時間ちょっとハイクすると、沢をいくつも選べます。リフトで稼いだ標高をそのままBCで使えて、しかもスティープ。ただ、どのルートを選んでもスキー場には戻れず、帰りがしんどい。そのせいで、実はまだ一度しか行っていません。
忘れられない一日
かぐらで、はじめてバックカントリーに出た日です。たしか4月ごろ。シールも持っていなかったので、ツボ足で登りました。BC用のリュックに食べ物と飲み物を詰めて、山頂でカップラーメンを食べた。そういう時代でした。今は装備を完璧にそろえて入っていますが、いちばん覚えているのは、あの日の山頂です。あの日、禁断の扉を開いてしまいました。
Japow の当て方(私のやり方)
以前は、前の晩と朝に、アメダス・スキー場の発表・ライブカメラをいくつものサイトで行ったり来たりしていました。今はこうです。
- 2週間前から:今は2週間ほど先まで予報が出るので、寒波が来そうな時期と場所を読んでおく(本州なら、白馬・妙高・志賀高原・湯沢・群馬のどこか)
- 前の晩:予報で、行き先を絞り込む
- 朝:24時間の降雪とライブカメラで、本当に降ったかを確かめる
- 待つ:好きなスキー場に★を付けておき、降った朝に通知を受け取る
東京で仕事を終えて家に帰り、そのまま夜に車で出れば、本州の雪山には早朝に着きます。だから勝負は、帰り道で行き先を決められるかどうか。仕事と Japow を両立させるのは、この一晩の判断です。
年末は、よく大寒波が来ます。だから毎年12月末は、白馬から上越・高田を回って妙高、野沢へと周遊しながら、その日いちばん降った所を選びます。
北海道へは飛行機で。空港か市内でタイムズの車を借りて、その日いちばん降った所へ向かいます。
板のこと
乗っているのは、日本の雪のために作られた日本のスキーブランド Vector Glide。YouTube「Japow Now」の動画は、全部この板で滑っています。スキーをしない人にはほとんど知られていないブランドだと思いますが、2003年の創業。スキーブームが去ったあとの厳しい時代を越えて、今も生き残っている、made in Japan にこだわる純国産ブランドです。自分のスタイルに合わせて選ぶというより、板ごとに乗り味がまったく違うのが面白いところ。パウダーでボーダーのようにカービングを楽しめる GENIUS(ジニアス)。ゲレンデだけでなくBCでも気合いを入れて滑れる CORDOVA(コルドバ)。ほどよくファットで、パウダーもカービングも両方いける POLARVE(ポラーブ)。その日の斜面と雪で板を選ぶのが楽しいです。
NISEKO JAPOW in February 2025|4 Days of Pure Powder
今、どこが Japow?
全国302か所のスキー場の降雪・積雪・ライブカメラを、最短10分ごとに更新しています。
よくある質問
- 読み方は?
- 「ジャパウ」。英語でもほぼ同じです
- 場所の名前?
- いいえ。特定のスキー場ではなく、日本のパウダースノー全体を指します